🟦 本当に「can=できる」でいいの?
「can」は学校で「〜できる」と習う。 でも、英会話では「Can you help me?(助けてくれる?)」や「Can I go now?(行っていい?)」など、 “できる”の意味とはちょっと違う使われ方が多い。
この記事では、「can」の本当の意味と、そこから枝分かれする使い方を体系的に整理します。
🟦 1. コアイメージ:「可能性の枠内にある」
「can」は本来、“〜が可能な状態にある”という意味。 つまり、「できる」ではなく「不可能ではない」。
これが「能力」「許可」「依頼」「推量」という複数の意味に分かれていく土台になる。
🟦 助動詞「can」の4つの意味の具体的な解説
① 能力(技術・スキルとしての「できる」)
📘 例文:He can swim.(彼は泳げる)
これは、いちばん基本の使い方。
「肉体的・精神的にできる力がある」=スキルや知識が備わっている状態です。
✅ ポイント
- 主語は「人」や「動物」
- 生まれつき or 習得した能力を示す
- 「できる」「できない」がはっきり分かれる行動で使うことが多い
📝 他の例
- She can play the piano.(彼女はピアノが弾ける)
- They can speak Spanish.(彼らはスペイン語が話せる)
② 許可(状況的にOKなこと)
📘 例文:You can go now.(もう行っていいよ)
この「can」は「能力」ではなく、「行ってもかまわない」という許可を表しています。
✅ ポイント
- 行動そのものをしても問題ない=状況的にOKという判断
- よく使われるのは「You can ~」「Can I ~?」
📝 他の例
- You can use my computer.(私のパソコン使ってもいいよ)
- Can I come in?(入ってもいい?)
🔎「能力」ではなく、「やっても問題ないか?」の確認。
→ 許されている範囲内かどうかを確認している。
③ 依頼(してくれますか?というお願い)
📘 例文:Can you help me?(手伝ってくれる?)
この「can」は「あなたがその行動をする能力があるか?」と聞くふりをして、
やんわりお願いしている使い方です。
✅ ポイント
- 英語では「命令」を避けるために、可能性を聞く=依頼という形式をとる
- カジュアルでよく使われる(より丁寧にしたいときは「Could you ~?」)
📝 他の例
- Can you pass me the salt?(塩を取ってくれる?)
- Can you open the door, please?(ドアを開けてくれる?)
🔎 実際には能力は問題じゃない。
→ 「あなたがその行動をしてくれたら助かる」というお願い。
④ 推量(論理的に“ありえない”ことを示す)
📘 例文:That can’t be true.(それが本当なわけがない)
ここでは「can」に**否定の“not”**がついて、
「論理的にありえない=100%不可能だ」という強い否定の推量を表します。
✅ ポイント
- 肉体的な「できない」ではなく、事実・現実として成り立たないことを指す
- 否定形(can’t / cannot)がよく使われる
📝 他の例
- He can’t be serious.(彼が本気なはずがない)
- She can’t be at home now.(彼女が今、家にいるはずがない)
🔎 ここでは「可能性ゼロ」の意味。
→ 主観的な確信に近い「ありえない」という判断
🔚 まとめ:同じ「can」でも使い方で意味が全然違う!
用法 | 本質 | よく出る文型 |
---|---|---|
能力 | 技術や知識がある | 主語 + can + 動詞 |
許可 | やってOKな状況 | You can / Can I ~? |
依頼 | やってくれませんか | Can you ~? |
推量(否定) | 論理的に不可能 | That can’t / He can’t ~ |
🟦 3. 「依頼」に使われる理由
🔍 英語は直接命令を避ける文化
「Can you ~?」は本来「あなたにその能力があるか」を聞いている。 でも実際は、
「あなたがそれをやることに支障がなければ、お願いしたい」 という、やんわりした依頼。
つまり、英語では「可能性の確認」が「お願い」にすり替わる。
🟦 4. 日本語とのギャップ
✔ 日本語:
「できる?」は能力を疑ってるように聞こえる → 「失礼」や「上から目線」に聞こえることがある
✔ 英語:
「Can you ~?」はむしろ「やさしい依頼」 → “してくれる?”という距離感の取り方
🟦 5. まとめ:canは「できる」ではなく「可能性の中にある」
- 英語の「can」は「しても不自然じゃない」という状態の確認
- そこから能力・許可・依頼・推量に枝分かれ
- 日本語に訳すときは、「できる」だけで捉えないことが大切!
👉 助動詞「can」は、“自分の意思”や“相手への気づかい”をやさしく表現するツールなんです。
🎯 can は本当に「できる」と訳していいのか?
✅ 結論から言うと…
場面によっては「できる」と訳してもいい。けれど、「できる」だけでは足りない。
訳し方を固定してしまうと、本当の意味が見えなくなる。
🧠 「できる」という日本語の限界
日本語の「できる」は、とても便利な言葉だけど、実はとても広くてあいまいです。
たとえば:
- 技術的にできる(スキル) → 泳げる、英語を話せる
- 許可されている(ルール的にOK) → 車を運転していい
- 条件が整っている(状況的に可能) → 今なら行ける
- 気持ちがある(心理的に可能) → 今なら言える気がする
ところが、英語の can は、これらを「区別して」表現します。
🔍 4つの意味に「できる」を当てはめると…?
英語 | 日本語訳 | 違和感の有無 |
---|---|---|
He can swim. | 彼は泳げる。 | ✅ 違和感なし(能力) |
You can go now. | あなたは今行ける。 | ⚠️ やや不自然。「行っていいよ」が自然 |
Can you help me? | あなたは私を助けられますか? | ❌ 不自然。「手伝ってくれる?」が自然 |
That can’t be true. | それは本当でありえない。 | ❌ 意味不明。「本当なわけがない」が自然 |
つまり、「できる」だけでは、
- 許可(go now)
- 依頼(help me)
- 推量(can’t be true)
には正確に対応できない。
🧠 本当の「can」を理解するには?
can の本質はこうです:
「その行動が、現実的に可能な範囲にあるか」
→ それが 能力・許可・依頼・推量 という意味に枝分かれする
だから、「できる」と訳すかどうかは…
- 能力の場合だけ自然
- その他は、「していい」「してもらえる」「ありえない」など、場面に応じた訳が必要
✅ まとめ:can は「できる」と訳してもいいが、それに縛られると誤訳になる
用法 | 「できる」でOK? | 自然な訳し方 |
---|---|---|
能力 | ✅ OK | 泳げる・話せる |
許可 | ❌ やや不自然 | ~していい |
依頼 | ❌ 不自然 | ~してくれる? |
推量 | ❌ 不自然 | ~のはずがない |
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